取材日:2023(令和5)年9月1日
運営事業者 | 社会福祉法人みなと寮 |
所在地 | 大阪府吹田市 |
認定自治体 | 吹田市 |
日住定員 | 15名 |
支援体制加算 | II(7.5:1) |
宿直体制加算 | なし(オンコール体制あり) |
食事提供 | なし |
住居の特徴 | 既存マンション活用、5階建、賃借物件 |
既存マンションを活かしたプライバシー確保
過去の経験から人間不信となり他者とあまり関わりたくないというかたや、体の性別に違和感をもつかたにとって、救護施設などでの「性別ごとの集団生活」は苦痛を伴うものである。既存のマンションを活用した日常生活支援住居施設(日住)であれば、トイレ、浴室といった設備を自分専用で使うことができ、他者と必要以上に関わることなく暮らすことができる。
ただし、プライバシーが守れる一方で、孤立状態になるリスクもあるので、生活支援員には入所者との早期の信頼関係構築が求められる。
ついでに、マンションという構造は、感染症のまん延対策としても有効で、陽性者が療養期間を過ごすのにも、感染の可能性があった人が陰性と判明するまでの待機期間を過ごすのにも、適していた。
精神科医療、法テラス、配食サービスなどへのつなぎ
生活歴の記憶がないというかたの支援ケース。入所者に精神科通院を提案したが、服薬したくないということで受診をためらっていた。服薬なしでカウンセリング療法をする精神科クリニックを探し、委託元の福祉事務所とも連携して、入所者に納得してもらい通院につなげた。自立支援医療の受給、精神保健福祉手帳の取得も支援した。
入所後に債務が発覚したかたの支援ケース。法テラスにつなぎ、自己破産できるように支援した。
日住としての食事提供はないが、自炊が難しい入所者には、利用できる配食サービスを紹介している。
居宅移行後の生活を他事業を活用してフォロー
日住から居宅移行をしたあと、同法人が近くで運営している救護施設「千里寮」の保護施設通所事業でフォローしている。
(例)日住の入所中に受診につなげ相性がよかった精神科の通院先を居宅移行後も変えずに済むように、保護施設通所事業の中で通院の送迎。
(例)日住の入所中から家計のやりくりを支援していたかたに、居宅移行後は保護施設通所事業の中で家計のやりくりを支援。
(例)居宅移行後は保護施設通所事業の中で日中活動をして工賃が得られるように支援。
他には、地元の独自の取組で「地域定着支援事業(※)」というものがあり、その事業も活用して居宅移行後の生活を支援している。
※以前は赤い羽根共同募金から助成を受けて実施していたが、現在では財源が替わり、吹田市居住支援協議会が実施している。
居宅移行にあたっては入居先を見つけて転居を段取りするだけでは不十分で、入居後の地域での生活を支援する仕組みが必要と考えている。